御殿場は、伊勢神宮の荘園として神様の台所を意味する「御厨(みくりや)」と呼ばれていました。富士山麓の豊かな自然環境から生まれる和菓子は、昔から変わらず、時に現代風にアレンジを加えながら、今も多くの人びとに愛されています。
和菓処 大田屋
創業1880年(明治13年)、御殿場の老舗和菓子店「大田屋」が、昨年10月に全面リニューアルしました。
名前も「和菓処大田屋」となり、現在は5代目と6代目夫婦が和菓子と洋菓子をつくっています。
近くにある「御殿場」のルーツでもある吾妻神社の御朱印を扱っていることからも、昔から街を見守ってきた店であることがうかがえます。
新しくなった店内には昔らくがんやまんじゅう作りで使っていた木型が飾られていて、使い込まれた風合いからもお店の歴史が伝わってきます。
そして、次世代まで続く新たな和スイーツとして開発した「のっぽ」が注目を集めています。
大田屋で人気の吾妻どら焼きの皮に、たっぷりの生クリームと季節の食材をサンドした断面も美しい一品です。
また、白ごまやほうじ茶など和食材を使ったクッキーも豊富な種類があり、専用ギフトBOXを使えば、サイズも種類も組み合わせは自由です。
大田屋にはいつでも手に入る定番の和菓子はありません。それは和菓子は季節を映すものだから。冬期は大福、夏期には水まんじゅう…と季節ごとに変化していきます。
上生菓子は毎月変わるので、和菓子を通して季節の移り変わりを楽しんでみてはいかがでしょう。
おすすめ和菓子
一番人気のプレーン(左)は、大田屋自慢のあんこと生クリームをたっぷりサンド。人気が出すぎてレギュラーメニューに昇格した「苺とクリームチーズ」(右)
大田屋で長年人気の吾妻どら焼き(左)と、国産バター入のトラ焼き(右)。店内で炊いた自慢のあんこはしっとり。卵と素材のやさしい香りが広がって、やさしくとけるような食感で、一口でおいしさを実感できます。
昭和堂
JR御殿場線富士岡駅前の商店街にある小さな和菓子店「昭和堂」です。
現在は三代目が一人で製造と販売を行っているため、一日に用意できる数は多くはありません。しかし、今もていねいに店主みずからあんこを炊いて、一つひとつ手作りしています。
昭和堂の大福のファンは多く、この日も朝から地元の常連さんが訪れ、まとめて購入していました。
昭和堂では、小豆の風味を感じる自慢のあんこが入った大福や、常連さんの熱烈なリクエストによって復活した富士最中をはじめ、おはぎや柏餅など季節の和菓子も日によって並びます。
事前予約制で赤飯やお餅も製造しています。
おすすめ和菓子
大福(左)はこし餡、草大福(右)はつぶ餡というのが昭和堂のこだわり。三代目が炊くあんこは甘すぎず、小豆の風味と食感が残るやさしい味。
地元客のリクエストで復活した「富士最中」(左)と昭和堂自慢の大福(中央)と草大福(右)。
富士最中は、サクッとした皮の中にクリームのように、なめらかな自家製白あんがたっぷり。
金時力まんじゅう
金時力まんじゅうは、秩父宮記念公園の近く、箱根の入り口といえる場所にあり、売店のほかに「お食事処 金時亭」も併設しているので、ランチタイムには観光バスが停まり、たくさんの観光客が訪れます。
金時力まんじゅうは、1973年(昭和48年)に創業。
力持ちの代名詞ともいえる足柄山の金太郎をイメージしたもち入りのまんじゅうで、創業当時から今も変わらず蒸しまんじゅうと揚げまんじゅうの二種類を製造・販売しています。
1977年(昭和52年)には第19回全国菓子大博覧会で内閣総理大臣賞も受賞し、歌舞伎の演目「蜘蛛の絲宿直噺」に金太郎(坂田金時)が登場するというご縁で東京・歌舞伎座でも販売しています。
味が自慢の金時力まんじゅうは、甘さ控えめなつぶしあんでもちを包みこんだまんじゅうで、生地には黒みつを練り込んでいます。
黒糖からつくる黒みつ、十勝産小豆のあんこ、もちはすべて自家製で、小ぶりながら食べごたえがあるのが特長です。多い時には一日5,000個を製造します。運が良ければ店内で揚げたての「あげまん」と蒸したて「むしまん」の試食もできます。しかし、昼過ぎには売り切れてしまうことも多いのでご注意を。
賞味期限は製造から9日間、常温保存ができるので遠方へのお土産にもぴったりです。
ふっくらやさしい味の「むしまん」と、カリッとホロ苦な「あげまん」、あなたはどちらがお好みでしょうか。
おすすめ和菓子
もちをあんこで包み、黒みつを練り込んだ生地でさらに包み込み、おいしい三層構造の「金時力まんじゅう」。すべて自家製で店内でつくっています。
揚げることで表面がカラメルのようになる「あげまん」(左)。ほろ苦さとあんこの甘さのバランスがたまりません。
ふっくらとやさしい味の「むしまん」(右)甘さひかえめのあんこに、黒糖の風味が広がります。
雅心苑 御殿場店
沼津市を中心に、静岡東部に7店舗ある老舗の和菓子店「御菓子処 雅心苑」。
2022年12月に雅心苑 御殿場店はJR御殿場駅から徒歩6分の場所へ移転しました。
静岡東部や伊豆、駿河湾周辺を中心に、地元の美味しい食材をふんだんにつかった和菓子・洋菓子が豊富にそろっています。
雅心苑で使用するもち米はすべて御殿場産、てんさい糖を使ったさっぱりとした甘みが特長です。
雅心苑の看板商品と言えば、午前中には売り切れてしまう「雅心だんご」です。
大きなみたらし団子の中に自慢のこしあんがたっぷり。前日までに連絡すれば取り置きも可能です。
また、沼津の寿太郎みかんを使ったゼリー「寿太郎蜜柑」もシーズンによって、食べやすい3種類のサイズ展開を行っています。
沼津の戸田塩を使ったクッキー「駿河ほろりん」は、かわいいパッケージで贈り物にも人気です。
ほかにも雅心苑の商品はどれも静岡東部にゆかりのある名前がついているのが特長です。
ぜひ、商品名にご注目ください。店内の喫茶スペースでは、ここでしか味わえない季節の甘味メニューもあります。
また、お店のシンボルでもある富士山のれんは御殿場店だけのオリジナルで、入り口前の団子のオブジェに立てば、団子と富士山と一緒に写真が撮れるフォトスポットです。
おすすめ和菓子
上品な味の水ゼリーの上に、地元の丹那牛乳を使った濃厚なミルクプリンがとろ~りとのった人気の「富士山プリン」。綺麗なブルーが印象的で高級なクリームソーダを味わっている気分です。
売り切れ必須の看板商品「雅心だんご」。あっさりとしながらも醤油の風味が効いたみたらしあんを絡めた御殿場産もち米の団子。その中にはこしあんが入っています。甘さと塩っぱさがクセになる一品。
沼津西浦産の高級「寿太郎みかん」を使ったゼリー「寿太郎蜜柑」。寿太郎みかん特有の濃厚な甘みとやさしい酸味をそのまま閉じ込めたような味わいが人気で、季節ごとに3つのサイズを販売しています。
人気商品「駿河ほろりん」は、口に入れるとほろほろとくずれて溶けていく食感が特長のスペイン菓子ポルボローネに似たクッキーです。駿河湾の天然塩「戸田塩」と千本浜海岸近くの工場のきなこをつかった「千本浜きなこ」の2種類があります。